東京国立近代美術館で開催中の「ゲルハルト・リヒター展」をみて。
藤原えりみさんの「リヒター、この作家を見よ。」を掲載しました。

60年に渡る創作活動を本人の作品選定と展示設計を元に構成した回顧展が、東京国立近代美術館で開催中。

これを読んでリヒターにまた一歩近づくことができることを願って、
藤原えりみさんが、リヒターの生い立ちと人生の決断と、彼の創作活動について語ってくれます。

特に、日本初公開の「ビルケナウ」。
強制収容所アウシュビッツに隣接する村ブジェシンカ村(ドイツ語名ビルケナウ)に設けられた絶滅収容所で撮影された写真に基づく4点の連作についてのくだりには、惹きつけられます。
 
「リヒターは4枚の写真をキャンバスにプロジェクションし、丹念に描き写していった。だが、約一年後、描かれたフォト・ペインティングは黒と白、赤と緑を基調とする暗鬱な色彩の分厚い絵の具の層で覆われることになる。

人類史に刻み付けられた悲惨な情景を約一年かけて黙々と描き写す。どれほどの心理的重圧の時を過ごしていたことか……。

リヒターにとって、いや第二次世界大戦後を生きるドイツの人々にとって、ホロコーストは拭い去ることのできない倫理的・政治的な課題であり、対峙せねばならぬ過去の瑕瑾であった。

リヒターは1967年と1998年にアウシュヴィッツを主題とする作品を試みている。だが、いずれも実現には至らなかった。

「ビルケナウ」連作が完成したのは2014年。。。」

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「リヒター、この作家を見よ。」 こちらからどうぞ 

撮影:山本倫子
© Gerhard Richter 2022 (07062022)